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怪我の予防と対処

バレーボールはスパイクやブロックでジャンプを繰り返し、レシーブでは中腰姿勢を保ちながら瞬間的にボールに飛びつくなど、激しい運動を行うことから、正しい練習方法や基礎体力づくり、身体に対する正しい知識を身につけておくことは選手として欠かせません。

ここでは、バレーボールをプレーする中で起こりがちなスポーツ障害をどのようにすれば未然に防げるか、漫画と文章でご紹介します。
バレーボールを楽しむ皆さんが自分の才能や技術をさらに磨き、バレーボールを今よりもっと楽しくプレーするための参考として下さい。

ジャンパー膝

大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)がジャンプ動作で酷使されることにより、膝のお皿の骨を中心とした上下スネの出っ張り部分が傷みやすくなります。片方の痛みが出たら両方の膝に痛みが出る確率が高いです。突発的な怪我でないため、どうしてもさぼっていると誤解されたり、痛くても何とかプレーできてしまうので医療機関を訪れるころにはすでに重症というケースが多いので、気をつける必要があります。うつぶせに寝てかかとがお尻につかない人は要注意です。(イラスト4)

ジャンパー膝の痛みのタイプは、初期は練習後に膝が痛むタイプ、中期では練習中にも痛み、もっと悪くなるといつも痛いという状態になります。まれに腱が断裂してしまうこともあるので、十分な注意が必要です。

治療はストレッチが最も有効的で、予防のためには練習に限らず四六時中やったほうがよいでしょう。毎日の練習後に膝をアイシングすることも大切です。(イラスト5)

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腰痛

バレーボールにおける腰痛のほとんどは筋肉や筋膜の肉離れや使いすぎによる慢性疲労性腰痛でこれが急に起こった場合一般的に「ぎっくり腰」と呼んでいます。急性のものはアイシングをほどこし、慢性的な腰痛は温めてやるとよいといわれています。

腰痛の対策としては柔軟性の獲得に努めることです。ストレッチは治療法でもあり最高の予防法でもあります。(イラスト8)

他には練習の合間にバスタオルでよく汗を拭き、体を冷やさないようにすること、練習後は必ず入浴し、翌日に疲労を残さないこと、物を持ち上げるときはなるべく膝を曲げることなど日常生活においての自己管理も大切です。(イラスト9)

立位体前屈で手のひらが床につかない、長座位(足を伸ばして床に座る)前屈で手が足に届かない、仰向けに寝て足が垂直に上がらない、膝を抱えて胸につかない、うつぶせに寝て逆えびぞりができない、などにあてはまる人は、腰痛予備軍ですので注意が必要です。(イラスト9)

◆代表的な症状

腰椎椎間板ヘルニア:腰の骨(腰椎)に守られてその中心にある脊椎の枝(神経)が、腰の骨のつなぎ部分である椎間板(軟骨)によって圧迫され、神経まひ(腰痛以外に足のしびれや感覚が鈍くなる、足・指の動きが悪くなる)を起こす重症の腰痛です。一般的には腰痛全般をヘルニアと言っている傾向があります。

腰椎分離症:字のごとく腰椎の一部が分離してしまう症状で、運動のしすぎで起こる疲労骨折の一つです。人間の柱である背骨の腰部分(腰椎)にできたひび、亀裂なので治りにくいのが特徴です。また腰椎すべり症とは、分離症と症状が似ていますが、腰の骨一つ一つの間がずれている症状を言います。

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肩関節障害

バレーボールにおける肩関節障害の原因の多くはオーバーユースによるものです。アタックの動作は野球に比べると大きく空中で重いボールをヒットします。すると手は打点で止まってしまいそれまで動いていた肩の筋肉や腱の動きもそこでストップする非生理的動作です。こういった不自然な使いすぎで肩を上げる筋肉、腱が徐々に磨耗して関節を安定させている腱版を損傷してしまいます。

対処法としてはストレッチが有効です。肩のストレッチにはぶら下がりが最も有効です。また肩の筋肉を強化するため2キロくらいの軽いダンベルを使ってトレーニングするとよいでしょう。ストレッチと同様に練習後に、肩の熱や痛みをとることも大切です。(イラスト13)

バレーボール選手に多い肩の障害は「動揺肩ルーズショルダー」です。もともと肩の関節が緩い人、弱い人に多く、スパイクを打つと肩が痛くなります。特に青少年は肩に負担がかかりすぎて肩痛や亜脱臼の原因になります。また、「肩関節亜脱臼症」は無理な体勢や打ちすぎで疲労がたまってくると起こる亜脱臼で、いわゆる"外れる"感じがあるものです。「腱板損傷(ローテーターカフ損傷)」は肩の酷使によって、肩を上げる筋肉や腱が受ける損傷。「インピンジメント症候群」は肩の中で腱が骨に当たって引っかかる障害です。

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捻挫

足関節部の靱帯損傷、いわゆる捻挫はバレーボールで最も多い急性(突発的)障害です。スパイクやブロックの時、味方や時には相手の足の上に乗って足首を内返し(内反)してしまい、外くるぶしの靱帯が伸ばされてしまうのです。(イラスト15)

捻挫は軽症(Ⅰ度)、中症(Ⅱ度)、重症(Ⅲ度)の3段階に分かれます。重症のⅢ度損傷は捻挫の中でも特に足関節靱帯損傷と言います。足首を捻挫すると主にくるぶし周辺が内出血のために腫れてしまいます。そしてジャンプした時に痛みやぐらつき感を生じます。

捻挫を起こしてしまったら「RICE療法」という治療をして下さい。「R:Rest(局所の安静)」、「I:Icing(熱を取り、痛みを軽減)」、「C:Compression(包帯等で圧迫、出血を抑える)」、「E:Elevation(患部を高くして出血を抑える)」という意味です。(イラスト15)

捻挫の予防には足首の柔軟性が大切です。やはりストレッチや筋力トレーニングは必要不可欠です。(イラスト16)

また練習でも試合でも常に足首専用装具を付けておけば、突発的な内反や外反から足首をガードできます。

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テーピング

スポーツの世界で行われるアスレティックテーピングの目的はおもにスポーツ外傷の予防および再発予防です。内反ねんざのときなどは足首を内側にひねる動きに抵抗するようにテープを貼ることによって痛めた靱帯に過度の力がかからないようにするのです。

アンカー、スターアップ、ラージヒルロック(イラスト24)

テーピングに使われるテープにはいくつか種類があります。最もよく用いられるのは「コットンテープ」で、関節を固定するためテープですから伸縮性はありません。38mm幅が一般的で、手指には19mm、25mmといった細めのものを使います。この他、「伸縮性テープ」「アンダーラップ」「紙ばんそうこう」「モールスキン」などがあります。

テープの外し方は、練習や試合が終わったらテープは速やかに取り外しましょう。ハサミやカッターでテープに切り込みを入れて外します。アンダーラップをしてあれば、より簡単に外れます。くれぐれも皮膚を傷めないように注意して下さい。

次のようなケースではテーピングをせず適切な処置をする必要があります。骨折・脱臼などの重度の急性障害、腫脹(腫れ)がある、テープにかぶれる、怪我の原因がわからず回復が遅れる、医師の許可がおりない、などです。(イラスト25)

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水分補給

スポーツにおける水分補給やアイシングは大変重要な要素です。特に暑い季節は炎天下よりも無風でエアコンのない体育館のほうがかえって熱がこもりやすく熱中病の危険性をはらんでいます。そこで必要なのがこまめな水分補給です。汗をかいて失われた電解質や塩分の補充目的のためスポーツドリンクを水でややうすめて飲みやすくして、夏場の練習なら20分おき位に200cc~300ccはとりましょう。

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アイシング

アイシングには2種類あります。ひとつは体のケアのために行うもの。特に必要な部位はバレーボールで痛めやすいところ、肩、ひざの前面、足首、ひじ、手首、ゆびなどです。運動後のコンディショニングとしてのアイシングは、運動で生じた筋活動の炎症を冷やすことによって抑え、筋疲労を最小限に食い止めるという目的で行われます。練習後必ずほてった体の部位を10~20分はアイシングして翌日に腫れや体の痛みを残さないようにします。練習前にやるのも有効です。ウォームアップ前にアイシングするのは、冷やすことによって疲労やケガなどによる筋肉の張りや痛みをなくして練習をスタートするためです。冷却することによって感覚を鈍くし、麻酔をかけたのと同じように痛みを感じにくい状態にして、徐々に動かしやすい状態にもっていくのです。

2つめは突発的なケガの処置です。凍傷に気をつけつつ、局所の腫れや熱を吸収し痛みが治まるまで冷やし続けます。(イラスト33)ポンプを使った循環器冷却装置が売られておりこれを使えば凍傷の心配なく長時間冷やせます。アイシングをすると、体のその部位には氷を当てた箇所の温度が下がる、細胞の新陳代謝が低下する、炎症が緩和される、疼痛が軽減される、などの効果が表れます。ケガの応急処置としてのアイシングはダメージを受けた周辺細胞の新陳代謝を低下させるのが目的です。

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突き指

一口で突き指と言っても骨折、間接の脱臼、腱の断裂、靱帯の断裂などさまざまな症状があります。ケガには必ず医師に診せなければならない5原則があります。「変形している」「熱がある」「腫れている」「変色している」「痛みがひどい」の5つです。(イラスト35)ケガをした際はすぐにアイシングをして病院に行きレントゲンなどでどんな状態か確かめて適切な処置をする必要があります。治療を終えドクターのOKが出たら再発予防のためテーピングで指を保護します。(イラスト36)

靱帯が切れるほどの重症だった場合は、負傷した指の隣の指を添え木代わりにしてテーピングしましょう。原則的には"弱いほうの指を添え木にする"ので、くすり指を負傷したら小指を添え木代わりとし、2本の指をテープでしっかりと固定します。

親指を突き指した時は機能的にも構造的にも特徴のある親指の付け根の関節は、ケガをしやすい箇所の一つです。他の指と違って、となりの指を添え木代わりにできないので、安定性を確保するためには手首までテープをかける必要があります。

プレー中に注意すべきなのはブロックのときです。ブロックとスパイクのタイミングがピッタリ合っている場合はよいのですが、運悪く相手がタイミングのずれたスパイクを打った時などブロック側が力をゆるめていることが多く、そんなときに突き指をしやすいです。(イラスト37)

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貧血

バレーボール選手はジャンプを繰り返します。その着地の際に足の裏の血管の中にある赤血球が壊れ貧血症状を引き起こします。また夏の暑い時期などに汗をかくことで、私たちの体からは鉄分が失われ、練習で沢山汗をかけば失われる鉄分も増えます。

貧血かどうか調べる方法は、下まぶたを開いた時つまりアカンベーの状態で裏側が白っぽい場合貧血のおそれがあります。原因が胃や血液の病気だったら大変なので一度病院で調べてもらったほうがよいでしょう。

一番多い原因は食事です。貧血の予防にはバランスの良い食事が大切です。特に鉄分、タンパク質、ビタミンが必要です。タンパク質の多い食品は卵・牛乳・納豆、鉄分の多い食品はホウレン草・シジミ・アサリなどがあります。ビタミンCを100mgとる目安はキウイフルーツ1個半、ブロッコリー1/2、トマト2個です。

鉄分は血液だけでなく骨や筋肉を作るときにも使われるので、発育期の選手は特に成長のために鉄分が使われて貧血になりやすいので、成長期の選手は人一倍鉄分をとるようにしましょう。

【監修】林 光俊(メディカル委員会 委員長)
【漫画】石川 せいぢゅん

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