ビーチバレーボール

最終戦・第9戦松山大会 男子/今季で引退の庄司が有終の美 女子/松本姉妹が今季2勝目

最終戦・第9戦松山大会 男子/今季で引退の庄司が有終の美 女子/松本姉妹が今季2勝目

今シーズンの最終戦となったジャパンビーチバレーボールツアー 第9戦 松山大会。
日本100名城の一つ、松山城を背景にした城山公園ふれあい広場の特設ビーチバレーボールコートにて、各ペアは練習の成果を存分に発揮。ツアーを締めくくるにふさわしい激闘を展開しました。

熾烈な戦いを勝ち抜き男子の頂上決戦に臨んだのは、Martin Kaufer(Germany)/庄司憲右(ハウスコム株式会社)組と石島雄介(ゴッツfamilyクラブ)/立谷純太郎(フリー)組です。このうちKaufer/庄司組は、今季3度決勝戦まで進出していますが、すべて敗退。悲願の初優勝を狙っていました。対する石島/立谷組は第6戦青森大会に続く2勝目を目指しての戦いとなりました。

その第1セット、まず流れを呼び込んだのはKaufer/庄司組です。Kaufer選手のパワーを生かしたサービスエースや意表を突くツーアタックなどで13‐9とすると、そのまま終盤の17‐13までリードを保っていました。しかしKaufer/庄司組に連続ミスが出たのをきっかけにリズムを取り戻した石島/立谷組が17‐17と追いつくと、その後は石島選手がネット際でブロック、そしてダイレクトで加点。最後は立谷選手がハードショットを叩き込んで石島/立谷組が逆転で第1セットを先取しました(21‐19)。

続く第2セット、ここでは第1セットと逆の展開となり、序盤で8‐4とリードしたのは石島/立谷組でしたが、Kaufer/庄司組がリードを詰め17‐17のタイに持ち込みました。その後デュースまでもつれ、石島/立谷組のマッチポイント、Kaufer/庄司組のセットポイントが行ったり来たりを繰り返し、この一瞬も目が離せない接戦を26‐24でものにしたのはKaufer/庄司組でした。

そして迎えた勝負のファイナルセット。ここで躍動感あるプレーを見せたのが庄司選手です。「2015年から7年間、愛媛県から国体の強化と普及のための仕事をいただきビーチバレーに専念することができました。恩のある土地だったので、その思いを胸に戦いました」という言葉どおり、飛び込んでディグでボールを上げたあと、すぐさま体勢を立て直してハードヒットを叩き込むという気持ちを前面に出したプレーで主導権を握ったことで、Kaufer/庄司組が15‐10で勝利。

庄司選手は今季で現役を引退することを決めており、今後は「若い選手が活躍できる仕組みづくりに関わりたい」といいます。13年間の現役生活で特に思い出に残っていることを尋ねると、「2017年の愛媛国体で長谷川徳海選手と組んで優勝できたことです。愛媛県民の皆さんが応援してくれるなかで勝てたこと、しかもビーチバレーが正式競技となったタイミングで初代チャンピオンになれたことがすごく印象に残っています」とのこと。

そのほか「東京2020オリンピックの出場権を決める大会で決勝まで行けたことも思い出に残っています。試合はボロ負けでしたが大切な思い出です」とも言う庄司選手。そうした思い出の一つに、今回、現役最後の松山大会で優勝し有終の美を飾ったことも加わるのでしょう。

その男子決勝に続いて行われた女子決勝は、松本恋/松本穏(ともにフリー)組×中川知香(ハウスコム株式会社)/菊地真結(トーヨーメタル株式会社)組のカードになりました。両ペアは前戦・第8戦名古屋大会準決勝でも対戦し、そのときは松本姉妹がストレートで勝利しています。

そして始まった試合。菊地選手がディグで拾ったボールをそのままディープに打ち返してポイントを奪うというスーパープレーで会場を沸かせます。菊地選手は今季、第6戦青森大会でジャパンツアー初優勝を手にしていますが、その要因を「以前は国内最高峰のジャパンツアーというだけで緊張していたのが、慣れてきたことで冷静に考えながらプレーできるようになってきたことが戦績にもつながっていると思います。でも、パスの精度など、練習でできていても試合ではできていないこともたくさんあります」と自己分析しています。

そうした伸び盛りの選手が相手でしたが、対する松本姉妹はコンビ結成以来磨いてきたスピードとコンビネーションを遺憾なく発揮。それに加えて「今季の中盤から取り入れたウエイトトレーニングの成果が出ていると思います」と、パワーでも差を見せて栄冠を手にしました(21‐13、21‐17)。

来季は名古屋でアジア大会が開催されますが、「まずは代表になって、地元である名古屋で金メダルを獲りたいです」と意気込む松本姉妹。その先には「ロサンゼルス2028オリンピックで金メダルを獲りたいです」と大きな夢を抱いています。

また、松山大会に併せて、川合庶ビーチバレーボールグループシニアダイレクター、安川孝司愛媛県ビーチバレーボール連盟会長、庄司憲右選手、髙橋巧選手らが、野志克仁松山市長に表敬訪問を行いました。

野志市長からは、大会の成功と、選手の活躍を楽しみにしていると、激励をいただき、参加していた庄司選手は「自分自身2017年の愛媛国体で愛媛県競技力対策本部の一員として活動して、優勝もさせていただいてる第二の故郷だと思っていて、松山大会では恩返しの意味でも優勝を狙っている」と述べ、有言実行の松山大会となりました。