石井/村上組、長谷川/清水組、今シーズン2勝目。「ジャパンツアー 第3戦 平塚大会 ガラナ・アンタルチカ杯」最終日。
国内最高峰ツアーの3戦目となる「ジャパンビーチバレーボールツアー2018 第3戦 平塚大会 ガラナ・アンタルチカ杯」最終日が6月10日(日)、神奈川県平塚市湘南ベルマーレビーチパークで開催された。夏日となった初日から一転、男女準決勝、決勝が行われた最終日は、朝から肌寒くお昼過ぎから小雨に見舞われた。
女子決勝戦
ベスト4には、石坪聖野(アットホーム) /柴麻美(株式会社帝国データバンク)組、坂本実優(医療法人社団明朋会増田外科) /沢目繭(新興和製薬株式会社/湘南ベルマーレサテライト)組らフレッシュな顔ぶれがそろった今大会。
両チームともに準決勝で1セットを奪う健闘を見せたが、決勝に進出したのは2季連続優勝の石井美樹(湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(株式会社オーイング)組、第2戦優勝の鈴木悠佳子(湘南ベルマーレ)/坂口佳穂(マイナビ/KBSC)組。新旧女王対決となった決勝戦もフルセットにもつれ込む接戦となったが、最終的には石井/村上組が女王の底力を発揮。2(19-21,21-14,15-9)1と試合を制し、今シーズン2勝目を飾った。
今シーズン2勝目をあげた石井/村上組
決勝戦の第1セット序盤は、2-6と鈴木/坂口組がリード。石井が「なかなか自分たちのリズムに乗れなくて、なんで?なんで?いつもは拾えているのに…と考えていた」と振り返ったように、女王にとってまさかの滑り出しだった。
そこから石井/村上組は、ある施策に転じる。それは、今大会通じて随所に取り組んでいた村上のワンブロックだ。「ワンブロックのほうがやることが絞れるので、思い切ってやっていこうと思った」と村上。この判断がまさに勝機となった。ここから鈴木/坂口組の攻撃のリズムがわずかに狂い始める。第2セットは序盤から主導権を握った。
最大の武器である緩急をついたサーブも走り始めた。「白帯を狙って回転をつけてくるネットインのサーブも、しっかり準備していれば、レセプションできる。けれど、サーブのスピードが速いから、どうしても重心を後ろにして構えてしまい、1歩が出なかった」と鈴木。相手の心理を逆手にとるスピードサーブで、たびたびコート前方を狙われ、唇を噛んだ。
第3セットも終始、石井/村上組のペース。「シン(村上)さんのワンブロックにして私が後ろから相手の攻撃を見ることで、会話も増えた」と石井。2セット目以降は主導権を渡すことなく、女王の強さを見せつけた。
鈴木/坂口組は、第2戦に続いて決勝進出。第1セットは石井/村上組のお株を奪うような粘り強いディフェンスコンビネーションを見せつけた。これまで1セットも奪えなかった相手に対し、フルセットに持ち込み、確実にチャンスはあった。
しかし、「絶対に決めなければいけないボールを石井/村上組は決めてくる。自分たちもそういうところで決めないといけないのに、逃してしまったし、相手の力に飲まれてしまった」と坂口が言えば、鈴木も「相手の戦い方は1本の重みが違った」と課題を口にした。
準優勝に終わった坂口
男子において決勝進出を果たしたのは、準決勝で開幕戦を制した越川優(横浜メディカルグループ)/西村晃一(WINDS)組を倒した石島雄介(トヨタ自動車)/高橋巧(了德寺大)組と、JVAカップで優勝した上場雄也(松戸レガロ)/ 白鳥勝浩(トヨタ自動車)組に勝利した長谷川徳海(愛媛県競技力向上対策本部)/清水啓輔(社会福祉法人ひまわり福祉会)組。第2戦東京大会の決勝戦と同カードとなり、長谷川/清水組が2(21-17,16-21,15-13)1で勝利した。
試合は前回の対戦同様、フルセットゲーム。両者一歩も引かない攻防戦が繰り広げられる中、長谷川/清水組は堂々の今シーズン2勝目をあげた。
先週のワールドツアーバンコク大会で優勝し、成長を感じさせる石島/高橋組に対し、今大会も勝ち切った長谷川/清水組。強さの要因の一つにあげられるのは、レシーバー・清水のプレーの安定感だろう。
フルセットゲームを制した清水と長谷川
アジア競技大会の日本代表メンバーに選ばれて以来、男子代表チームのフィジカルトレーナーである五十嵐悠哉氏にトレーニングを見てもらっていると言う。
「これまで自分のプレーは圧倒的にパワーが足りなくて得点できない場面も多かったと思う。そこを解消していかないと世界で勝つことができない。筋肉をつけるための食事を心がけている。フィジカルでつけたパワーと技術をリンクしていくことで、サーブやスパイクも力で押せるようになった」と清水。
身体のブレが少なくなり、攻撃をネットにかけるなど以前あったような、ここぞという場面でのミスも減った。今大会でも、幅のある石島のブロックに対し、持ち前のテクニックで交わし、相手に行きそうな試合の流れを断ち切って見せた。
男子準決勝
一方、準決勝では西村/越川組に圧勝し、波に乗っていたかと思われた石島/高橋組。第2セットを奪い返したが、最終セットは長谷川/清水組のサーブとブロックの圧力に押され、突破口を開くことができず、またも初優勝を逃すカタチとなった。
だが、彼らの目標は世界の舞台で勝ち続けること。ワールドツアーでの優勝はあくまでも1スター。その次に出場した一つレベル上の2スター大会(ワールドツアー晋江大会)では、9位タイ。新たな壁を乗り越えようとしている。
高橋は、世界で結果を残しているチームとの差をこう述べる。
「ワールドツアー晋江大会で優勝したスイスのような強いチームには、終始サーブで追い込まれてしまう。プレーの精度が非常に高く、取りこぼしはない。自分たちはそんなチームに対して、サイドアウトが切れず、ずっと主導権を握れないので、気持ち的にいっぱいいっぱいになってしまう。なんとか気持ちを切り替えて、攻めていけるようにレベルアップしていきたい」。
次回の国内ツアーは6月30日(土)、7月1日(日)、兵庫県南あわじ市で開催される「第4戦 南あわじ・神戸淡路鳴門自動車道全通20周年記念大会」。その間、トップ選手たちは、オーストリア、チェコ、シンガポールなどで開催されるワールドツアーに出場する。