ビーチバレーボール

躍動した「アクティオ・ワイルドカード」出場チーム。 衣笠/菊地組がツアー初出場で5位タイ。

躍動した「アクティオ・ワイルドカード」出場チーム。 衣笠/菊地組がツアー初出場で5位タイ。

「マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2022第5戦都城大会 第23回ビーチバレー霧島酒造オープン」が9月23日(金・祝)から25日(日)、霧島ファクトリーガーデン(宮崎県都城市)で開催された。

今大会には、「アクティオ杯 全日本大学ビーチバレーボール選手権」(以下ジャパンカレッジ)の優勝者(女子は準優勝者)に「アクティオ・ワイルドカード」が与えられることになった。このワイルドカードは、ツアー協賛である株式会社アクティオが大学生にいち早くトップレベルを体感し強化を図ってほしいという想いをきっかけに導入。いま注目の大学生チームが日本最高峰のマイナビジャパンツアーに挑んだ。

▲憧れの舞台に立った衣笠/菊地組

「アクティオ・ワイルドカード」女子チームとして出場したのは、衣笠乃愛(明海大)/菊地真結(明海大)組だ。1日目の予選グループ戦初戦では、第1シードの橋本涼加(トヨタ自動車)/村上礼華(ダイキアクシス)組と対戦した。

ともに緊張することはなかったと言う2人だが「出だしから圧倒された。トップチームはサーブも強いし決め所もうまい。そんな中で自分たちのできることをしようと思ったが、力を出し切れなかった」と衣笠。持ち前のレシーブ力で橋本/村上組の強打スパイクを拾い上げる場面もあったが、なかなか攻撃までにつながらない。第1セット15-21、第2セット18-21と0-2でストレート負けを喫した。

衣笠/菊地組はデビュー戦でトップチームの洗礼を浴びることになったが、菊地は「トップのツアーは実況もあったり自分の名前を呼ばれてコートに入ったり、観客もたくさんいて興奮した。初戦でどんな雰囲気かわかったので、次の試合では出だしからリードしていきたい」とトップツアーでしか味わえない雰囲気をかみしめていた。

▲精度の高いプレーを見せた菊地

2日目の予選プール戦では本村嘉菜(アイビークリーン)/酒井春海(甲斐組)組と対戦した。第1セット、狙いを定めた衣笠のサーブが効果を発揮。衣笠/菊地組は次々にブレイクを成功させ、21-13と第1セットを先取した。第2セットは本村/酒井組がシード上位チームの意地を見せる。衣笠/菊地組は自分たちが得意とするライン際のディープショットに対応され攻撃のリズムを失うと18-21と第2セットを奪取された。

最終セット。このセットを衣笠/菊地組がとれば、「アクティオ・ワイルドカード」大学生チームにおいて初勝利が決まることになる。徐々に相手コートが見えてきた衣笠/菊地組は、ディフェンス面ではコートを縦横無尽に走り回り、攻撃面では力強いスパイクを打ちきっていく。主導権を握って離さなかった衣笠/菊地組が15-10と決着をつけ、初勝利を飾った。

大舞台で粘り強いレシーブ力を見せた衣笠は「世界大学選手権の合宿や大会を通じて、それまで知らなかったビーチバレーボールのセオリーをコーチから教えてもらった。やり始めは考えすぎて慣れない部分、できない部分もあったけれど、今はフェイクやレシーブの位置取りができるようになった。試合を通して出すことができた」と自身の成長を感じていた。

▲粘り強いレシーブを見せた衣笠

決勝トーナメントに進出した衣笠/菊地組は、準々決勝では柴麻美(帝国データバンク)/西堀健実(トヨタ自動車)組と対戦した。この日、2試合目となった衣笠/菊地組。それまでの試合同様、第1セットからコントロールショットを多用していくが、これが決まらなくなる。「1試合目からレシーブ時に走っていたので疲れが出てしまったのかもしれない」と菊地が振り返るように精細を欠いた衣笠/菊地組は、第1セット12-21と柴/西堀組に先取された。

第2セットもトップチームの壁が立ちはだかる。西堀/柴組は衣笠/菊地組のディフェンス体系の逆を突き、得点を重ねていく。最後まで決定打を欠いた衣笠/菊地組は第2セットも18-21と奪われ、ここで敗退。初のマイナビジャパンツアーを5位タイで終えた。

▲ペア結成4年目で初のツアーに挑んだ

共栄学園高時代から含め、衣笠/菊地組はペアを結成して今年で4年目。高校チャンピオン、ジャパンカレッジベスト4入り、決勝進出と一段ずつ階段を上ってきた衣笠/菊地組は「アクティオ・ワイルドカード」で出場機会を得てマイナビジャパンツアーで躍動して見せた。菊地は言う。

「トップのツアーはプロ選手の大会というイメージがあってたまに大学生チームが出ているのを見ると『すごいなぁ、私たちも出てみたいね』と話していた。だからこそ、今回アクティオ・ワイルドカードをいただき、憧れの舞台で試合ができたのはうれしかった」と振り返った。

衣笠も「もう少しトスの精度を高めてお互いに決めなければいけないところで攻撃を決められるチームを目指したい。今後自分たちの実力でマイナビジャパンツアーに出られるようにポイントを稼いでいきたい」とビジョンを語った。

大学生チームの夢をつなぐ「アクティオ・ワイルドカード」。衣笠/菊地組にとって未来を切り開くきっかけになるのか、注目したい。

▲今後の活躍が期待される衣笠/菊地組