PLAYERS INTERVIEW⑩ 長谷川暁子
進化し続ける
スピード&ストロングプレーヤー
――この一瞬を必死に生きる力――
彼女がインドアバレーボールからビーチバレーボールに転向して辿り着いた言葉だ。
持ち味である砂上での速さ、体の強さを武器に
東京オリンピック出場に向けて爪を研ぐ
―バレーボールを始めたのはいつ頃ですか?
「小学生まではいろいろなスポーツをしていました。小さい頃からずっと水泳に通ったり、母が習っていた日本舞踊の稽古にはよく連れていってもらいました。バレーボールは、小学校3年生の時に友人に誘われて始めて、そのまま強豪チームに入りました。とても練習量が多く、真剣に毎日取り組んでいました」
-インドアからビーチバレーボールに転向して大変だったことは?
「インドアと比べると、足場がまったく違う砂であることと、風が影響するという違いがすごく大きかったです。砂上は半年くらいで慣れたのですが、風の力には驚きました。それまで意識したことはなかったのですが、ビーチバレーボールを始めてから、その影響力の大きさを思い知らされました。風に左右されてボールの動きが予測不可能な場面があったり、海風は強いですし、日ごとに違う風が吹くので大変でした。
また2人しかいない競技なので、パス、トス、アタック全部自分でやらなければならないことも大きな違いです。インドアだと、リベロだったらレシーブ主体ですし、セッターならトス、センターだったらブロックが多い、など役割がそれぞれ決まっている部分もありますが、ビーチバレーボールの場合、オールマイティにできないと勝てないのでプレーの幅が広がります。インドア時代はサイドアタッカーだったので、レシーブとアタックは練習していましたが、トスだけはあまり練習してなかったこともあり、当初は大変苦労しました。ビーチバレーボールに転向してから今でも猛練習しています(笑)」
-ビーチバレーボールの魅力とは?
「ビーチバレーボールは屋外の解放感ある中でプレーできるという爽快感があります。外で体を動かすのって気分よいですよ。肌は焼けちゃうんですけどね(笑) あと、ビーチバレーボールの試合会場では、お酒を飲みながら観戦を楽しむ方がたくさんいます。もしかしたら野球場のように売り子さんがいたらもっと楽しめるのでは、と思います」
-昨シーズンはどんなシーズンでしたか?
「オリンピック前だったということもあり、ポイントを獲得するために10か国くらい海外を転戦しましたが、7月、ワールドツアー3スターのカナダ大会でメダルを取れたのはチームとして大きなターニングポイントでした。その大会をきっかけに調子が上がっていったので、昨シーズン躍進のスタートになった大会でした」
-自分のプレースタイルにキャッチフレーズをつけるとしたら?
「“スピード&ストロング”です。対戦相手に嫌だと思われる速い動きができるよう、今後も伸ばしていきたいと思ってます。特に練習ではスピード強化を重点的に。そして、砂上ですばやく動くには、体が強くないとすぐ次の動きに移れないので、トレーニングで上半身、特に背中を鍛えてます」
-学生プレーヤーに向けて一言
「ビーチバレーボールはインドアのバレーボールよりもミスが出やすい競技です。風があるし、砂に足を取られるし。だからミスを気にせず、怖がらずどんどんプレーしていくことが大事だと思います。ミスを怖がっていると、ビーチバレーボールはプレーにならないので」
-ビーチバレーボール選手に必要な素質とは?
「コミュニケーション能力はとても大事です。2人だけで遠征を回ってる際は、朝起きてから寝るまで基本的にずっと2人一緒なんです。そんな時、円滑なコミュニケーション能力、気遣いがあるとストレスなく乗り切れると思います」
-パートナーに求めるものは?
「パートナーは今まで何度か変わりましたが、どのパートナーも自分が組みたい人に変更することができたので、恵まれていました。パートナーをチェンジすると新鮮な気持ちになったり、新たな発見があるので、そういった意味ではプレーにもよい影響が及ぼされるのかもしれません。そこでパートナーに求めるものは、お互いに話し合えることです。機嫌がいい日や悪い日も、試合に勝ったり負けたりしてる中でも、お互いのことを尊重して話し合えることが必要だと思います」
-ビーチバレーボール選手として『これだけは譲れない』というものはありますか?
「この一瞬を必死に生きる力、これを大事にしています。ミスに囚われない。良いプレ-に驕らない。いつまでもそのことにこだわらず、切り替えるようにしています」
-あなたにとってオリンピックとは?
「日本での開催ということで、インドア時代から応援してくださっているファンや企業様、関係者の方々もより多く観ていただけると思うので、今までの恩返しができる最高の舞台だと思います。そういった意味で、他国で開催されるオリンピックよりも、今回の東京開催は意味があると考えています。必ず出場できるように頑張ります」