ビーチバレーボール

PLAYERS INTERVIEW⑨ 庄司憲右

PLAYERS INTERVIEW⑨

庄司憲右

家族の夢を背負って

東京オリンピックを目指す!

「砂上での動きは誰にも負けない」と力強く語ったプロビーチバレーボーラー庄司憲右。

そのプレースタイルは、持ち前のガッツで相手のショットに飛びこみ、最後まであきらめずガムシャラにボールを拾う。加えて相手が嫌がるクセのある変幻自在のサーブは彼の持ち味でもある。現在、湘南ベルマーレに所属する『湘南の暴れん坊』はオリンピック出場という家族の夢を背負い、パートナーの倉坂正人と東京オリンピックを目指す。

―バレーボールを始めたきっかけは?

「バレーボールに出会ったのは小学校4年生です。それまでは父の影響で硬式テニスを習っていました。その頃、ヒョロヒョロで背も小さく、硬式テニスでは肩が弱くてスマッシュが打てなかったのです。そこで父親が“バレーボールをやれば肩が強くなるんじゃないか”と、知り合いの小学生バレーの監督にお願いして入会することになりました。つまりスタートは、テニスのためのバレーボールだったんです(笑) 当時、テニスとバレーボールを掛け持ちでやってましたが、結局バレーボールの魅力にはまってしまい、中学校に入って部活を選ぶ時にテニスでなくバレーボールを選びました」

―ビーチバレーボールを始めたのはいつごろですか?

「出身が鳥取県の境港というビーチバレーボールの大会をよく開催している地域なのですが、小学生の時から大会の役員としてお手伝いなどをしていたので、馴染み深かったんです。そんなこともあり高校からビーチバレーボールの大会に出ていました。そして大学を卒業してから1年間教員をやってたのですが、その間にビーチバレーボールの先輩から誘いを受けて、本格的にプレーし始めました」

―ビーチバレーボールの魅力とは?

「魅力はたくさんありますが、屋外の開放的な雰囲気の中で、音楽や観客が盛り上げてくれる環境でプレーできることが最高だと思います。もう一つは、自分自身で考え、いろいろと個人で活動できることにやりがいを感じます。また僕自身、ビーチバレーボールのおかげですごく成長させてもらえたと思ってます。ビーチバレーボールは相手の気持ちを考えなければいいプレーができません。パートナーの気持ち、対戦相手の気持ちを感じ取る能力、それが身についたと思います。またそれを私生活にも活かしている気がします」

―昨シーズンを振り返って。どのようなシーズンでしたか?

「オリンピックの前年ということでポイントレースが熾烈でした。僕自身のビーチバレーボール人生で一番多くの試合数を経験した年で、小さい大会も含めると合計30大会くらい出場しました。また、しっかりフィジカルトレーニングで身体を作ってきたことにより、たくさんの試合をケガなくこなせたことに関しては、すごく自信になった1年でした」

―学生プレーヤーに向けてメッセージをお願いします

「まずはその人の気持ちや立場になって考えてみる。対戦相手の場合、今僕がこういう状況だったら“これは嫌だなというプレーをする”ということを常に心がけてます。以前は自分が気持ちいいプレーばかりを出そうとしていたんですけどね。逆にパートナ-に対しては、今これをしてほしいんだな。という気持ちを常に考えるようにしています」

―日ごろから気をつけていることは?

「コロナウイルスの自粛期間にすごく感じたんですが、やはり物事は、飛躍的に伸びたり、段飛ばしでステップアップしたりすることはないなと強く思いました。トレーニングや練習、食事にしても考え方にしても毎日の積み重ねで、少しずつ積み上げていくことが大事なんだなと感じてます」

―海外転戦中のハプニングはありますか?

「イランはバレーボールやビーチバレーボールが盛んで、大会も年に何回かある国です。そのイラン転戦の時、ビザの申請トラブルで空港から出られなくなってしまい、空港の中で7時間くらい閉じ込められました(笑) 結局、国内線の飛行機に乗り遅れ、空港からバスで5時間移動させられ、最悪のコンディションで試合に臨んだことがありました」

―思い出に残ってる試合は?

「2017年の愛媛国体です。2017年にビーチバレーボールが正式種目になったのですが、僕は2015年から愛媛県国体部門で登録いただいており、地元の多くの方々に応援していただいてる中、優勝できたのが思い出に残ってます」

―6人制のインドアとの大きな違いは?

「選手交代できないので、自分の調子がいくら良くてもパートナーの調子が悪かったら絶対勝てません。自分が良いプレーするのと同じくらいパートナーの良いプレーを引き出すために“ノせてあげる”のが大事。そういった点はインドアと大きく変わってくるのかなと。インドアのセッターという役割を2人がやらなきゃいけないような感覚ですね」

―海外の選手との違いは?

「海外の選手は全員ではありませんが、細かい部分を気にしない選手も多いです。形が悪かろうがフォームが悪かろうが、とにかく強く打つ! というイメージです。大雑把といいますか、でも結果決まったりするケースがあるんですよね。ある部分、日本の選手もこれぐらい大雑把になれるといいのかも、と思う時はあります」

―ビーチバレーボール選手として『これだけは譲れない』というものはありますか?

「砂上での動きは絶対負けないと思っています。砂上の足の速さだったり、反応の速さはどんな競技の誰よりも勝ってると自負してます。なぜなら誰よりも砂の上にいる時間が長いと思っていますし、前後左右に素早く動く競技はビーチバレーボール特有のものだからです」

―自分にとってオリンピックとは?

「オリンピックはビーチバレーボール界では最高峰の大会なので、もちろん選手である以上は必ず目指すべき舞台ですね。またたくさんの方々に支えられて活動しているので、その方々に対して感謝を表現する舞台なのかなと思ってます。そして選手生活をサポートしてくれている妻(元ビーチバレーボーラー)が成し得なかったオリンピック出場という夢を僕が引き継いで、恩返ししたいという想いもあります」


庄司憲右プロフィール